会長ご挨拶
第37回
日本口腔・咽頭科学会
総会・学術講演会
会長 保富 宗城
(和歌山県立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座)
この度,第37 回日本口腔・咽頭科学会を開催させていただけること大変光栄に存じ上げます.伝統ある本学会を主催するにあたり,身の引き締まる思いです.ご指導・ご鞭撻を賜りました,岩井大理事長はじめ,本学会の歴代理事長ならびに学会役員,そして会員の皆様に厚くお礼申し上げます.
今回の学会テーマは「内外合一・活物窮理」としました.
和歌山は医聖・華岡青洲が1804 年に世界に先駆け全身麻酔で乳癌手術を行った地であり,和歌山県立医
科大学の建学理念は青洲の精神を受け継いでいます.「内外合一・活物窮理」は,華岡青洲の言葉です.内
外合一とは,「外科を行うには,内科,すなわち患者さんの全身状態を詳しく診察して,十分に把握した上
で治療すべきである」という意味です.活物窮理とは,「治療の対象は生きた人間であり,それぞれが異な
る特質を持っている.そのため,人を治療するのであれば,人体についての基本理論を熟知した上で,深
く観察して患者自身やその病の特質を究めなければならない」という教えです.実り多き学会にしたいと
思います.
学会では,4 つのシンポジウムと3 つの特別講演,6 つの教育講演を企画しました.一般演題には,154
題の応募をいただきました.心よりお礼申し上げます.
シンポジウム1 「魅惑の扁桃研究 今何が行われているか?」では,本学会がこれまで世界をリードし
てきた扁桃研究について,考えたいと思います.扁桃のもつミステリアスな免疫応答に触れていただけれ
ばと思います.シンポジウム2 「安全な医療を目指したパワーデバイス口腔咽頭手術」では,小児のOSA
手術において取り組まれている,安全かつ低侵襲な手術デバイス・手術手技の拡がりを議論できればと思
います.シンポジウム3 「舌・口腔がんの最前線:基礎から臨床」では,口腔・咽頭癌について最新の基
礎研究,外科治療の最前線をご紹介いただくとともに,これからの治療について考えたいと思います.ま
た,会長特別企画 シンポジウム4 「多職種で取り組む摂食・嚥下診療」では,在宅診療から手術,さら
には嚥下訓練など,摂食・嚥下について多職種による取り組みについて様々な視点から考えたいと思いま
す.
特別講演としては,特別講演1 では,北海道大学遺伝子病制御研究所教授の村上正晃先生をお迎えし,
「ゲートウェイ反射とIL-6 アンプによる組織特異的炎症性疾患」についてご講演いただきます.特別講演
2 では,和歌山県立医科大学 先端医学研究所 分子病態解析研究部 教授の橋本真一先生をお迎えし「単
一細胞解析」についてご講演をいただきます.特別講演3 では,愛知医科大学薬理学 教授の丸山健太先
生をお迎えし,「感覚免疫学」についてご講演をいただきます.
教育講演では「知っておこう!梅毒の知識」,「運動誘発性喉頭閉塞症」,「唾液腺癌診療Up to Date」,
「口腔・咽頭癌におけるフレイル・サルコペニア」,「IgG4 関連疾患」,「医用画像からの3DCG 再構成を
「超速く」「超綺麗に」しただけで何かが変わるのか?」についてそれぞれエキスパートの先生のご講演を
賜ります.
また,今回口腔咽頭実技講習「やってみようよ!味覚検査,あなたもできる!無呼吸検査」として,耳
鼻咽喉科検査に焦点を当てた企画を行いました.
共催セミナーとして6 つのランチョンセミナー,6 つのスイーツセミナーのほか教育セミナー,モーニ
ングセミナー,イブニングセミナー,ハンズオンセミナーを予定しております.また,さまざまな企業展
示やカフェもご用意しております.多くの先生に,口腔・咽頭科学の奥深さを楽しんでいただければと思
います.ご協賛をいただきました企業の皆様には,この場をお借りして深く御礼申し上げます.
新秋に,和歌山の地で口腔・咽頭科学の「内外合一・活物窮理」を目標に,教室員一同,多くの皆様に
ご参加いただけることを心よりお待ちしております.和歌山でお会いできることを心から楽しみにしてお
ります.